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涼温な家 住み心地体感ハウス

松井修三の
思ったこと、感じたこと

放射熱の圧迫感

投稿日:2014年9月30日

上棟の様子がメールで入ってきた。

横浜体感ハウスの真ん前に建つK邸である。

「オーッ、見事だ!」

思わず感嘆した。

木造軸組だけが発揮する強い美しさは、イギリスではまったく見られない。写真下のようにブロックを積み上げて、10センチの隙間を開けてレンガを積み上げる。空間にロックウールかウレタンフォームを入れる。天井には目いっぱい断熱材を詰め込む。窓は高性能なプラスチックサッシ。断熱性能は申し分ない。

窓から日差しが入ると、暑苦しい感じがする。まともな機械換気がないから、窓を開けざるを得なくなる。そうしても、換気の経路が不十分だから、空気のよどむ場所ができてしまう。このよどみ感が、「涼温な家」で暮らす者にとってはたまらなくつらく感じる。


午後から、ロンドン郊外Acton Main Lineの駅より徒歩5分に新築された、EPCがBランクで機械換気が備えられているという住宅を見に行った。

4戸長屋の二階建て小屋裏利用の4ベッドルームである。価格はいずれも1億6千万円前後。デザインはモダンだが、南面の窓が広く日射取得が大き過ぎる。これで、断熱性能だけを良くしたのでは、暑くなり過ぎてしまうはずだ。

そう思って玄関を入って一呼吸した瞬間、この家もダメだと感じた。空気がよどみ、新築の刺激臭がきつい。換気はどうなっているのだろうと見渡すと、部屋の内部にはそれらしきものが見当たらない。トイレをのぞくと天井にスイッチを入れると開くダクトファンがあった。


「ここ1か所だけ?まさか!」

と思って、二階のメインベッドルームに接しているバスルームの天井を見上げると、1階のトイレと同じファンが目に入った。給気は、窓枠である。午後3時、パラパラ程度の小雨、温度は21度・湿度78%。家の内部は、温度25度・湿度65%。

「熱交換換気があると聞いてきたのだが」と問いかけると、50代と思しき男性の業者は肩をすぼめ、「このとおりだよ」とのこと。

これでは、シャワーを使うと湿気の排出が間に合わず、部屋に出てきてしまうはずだ。湿気の多い冬には、カビが発生する危険があるし、臭いがこもる。カーテンを閉めると、窓枠からの給気はほとんど期待できないからだ。

そんなやりとりをしていて、ふと気が付くと久保田さんがセールスマンの後ろでサインを送っていた。

「外で待っています」と。

とにかく空気が悪い。そこにもってきて、壁からの放射熱の圧迫感がたまらない。

私も息苦しさを覚えてすべり出し窓を開けたが、期待したように空気が入ってこない。外はほとんど風がないし、温度差がこの程度では、一か所の窓を10センチほどすべり出させただけでは換気効果が得られなかった。


換気を疎かにして断熱強化を図ることは、間違いなく住み心地を悪化させることを実感した。にもかかわらず、住宅先進国はこぞってCO2削減を目指して断熱強化を競い合っている。

机上の理論からすれば、数値が優れるほどいいとされるのが断熱性能であるが、住み心地にとっては両刃の刃になる。


放射熱の圧迫感について、国も学者も気づいていない。そのわけは、実際に私や久保田さんのように住み比べを体験しないからだ。

海外の住宅視察をしても、理論ばかりを追い求め、感性を働かせない。住むということは、理論で納得することではなく感性が安らぎ、喜ぶことの方がはるかに大事なのだということが分かっていないのだ。

わが国で高断熱を極めて換気を疎かにすると、高温多湿な気候の不快さが増大するという事実を知るべきだ。イギリスやドイツのように、夏の暑さは窓開け換気で過ごせるならよいが、日本では北海道を除いては健康被害を受けかねない。


イギリスでは2016年から、新築住宅には熱交換換気が義務付けられるとされているが、長年窓開け換気を最善としてきているユーザーが、機械換気の良さに目覚めるには相当の時間がかかりそうだ。

今日の不動産業者も、28日に紹介した業者とまったく同じことを言っていた。

「換気について質問する客に出会ったのは、初めてだ」。


換気扇のスイッチがドアの上の手が届かない高さにある理由を尋ねると、これまた同じように「知らない。椅子を使えばいいのでは」と答えた。

私は、常時付け放しにして使わせるためだと思ったが、換気に対する関心の低さを思い知らされた。


まともな機械換気が働いて、「涼温な家」のような空気の気持ちいい家はないのだろうか?

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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