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松井修三の
思ったこと、感じたこと

あれから3年

投稿日:2014年3月10日

(基礎外断熱・MP防蟻工法・TIP構法・外張り断熱)

東日本大震災から3年が過ぎようとしている。

いまだ復興・復旧には難問が山積していて、道半ばにも達していない様子が報道されるたびに、自分に何ができるのか、日々忸怩たる思いがしてならない。

一日も早く、被災地に春のあたたかな陽光が降り注ぐことをひたすら願うばかりである。


福島県浜通り北部にある浪江町から、避難を余儀なくされたある大工さんが、西村棟梁の元を訪れたのは、あれから間もなくのことだった。

相談を受けて、私は二つ返事で働いてもらうことにした。

東北の人らしく誠実さに溢れ、一目で信頼できると思った。しかし、ひと月もしないある日、現場へ行くと、大工さんの表情は別人のように暗く沈んで見えた。

私は、様子を尋ねたかったが、毎日のように報道される被害のむごたらしさを思うと聞けなかった。心配で10日ほどしてから行ってみると、棟梁がつらそうに言った。

「彼にしばらく休んでもらうことにしました」と。

理由は、精神的なものだという。


今日、彼が働いている現場を訪ねた。

写真のように、外張り断熱に取り掛かっていた。仕事を見ただけで、私には彼が無事心身ともに立ち直ったことが見て取れた。

挨拶を交わす表情は、初めて会ったときよりもはるかに元気そうだった。

「明日で、3年になるね。

もう、聞いてもいいかな?」

私は、ずっと心に引っかかっていたことを尋ねてみた。

「避難するとき、奥さん赤ちゃん流産したそうだね」

「ええ。まだ7週間ほどでしたから・・・」

「その辛さに耐えて、よく働いてくれたね。あなたが休む前の表情を思い出すと、なかなか寝付けない日があったよ。

どう、マツミの家造りを続けていってもらえるかな?」

彼は、にっこりと笑った。

「ぜひ、続けたいです。マツミの仕事は、こうして断熱材を張り、窓とドアがつけば私の住まいよりもはるかに暖かくなります。一生懸命やっていると、お客様の喜ばれる顔が見えるのです。こんなやりがいのある家造りはありません。

それに・・・」と、彼は間を置いた。

「二人目の子供のためにも頑張らなくては」

私は、感動で胸が熱くなった。

彼は、マツミの中堅の大工さんとしての足場を、しっかりと固めたようだ。

  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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