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松井修三の
思ったこと、感じたこと

外断熱と火事 

投稿日:2017年6月16日

ロンドンの公営高層住宅火災のテレビ映像は、衝撃的だった。

BBCニュースによると、築43年になる建物は外断熱リフォームがされ、窓は鉄枠一枚ガラスからプラスチック二枚ガラスのものに交換したのだが、それらが激しく燃えたとのこと。


外断熱は火事に危ないのだろうか?


事件後、「アンチ外断熱派」の造り手たちは、「だから外断熱は危ない」と、再び声のトーンを上げているという。

「『いい家』が欲しい。」が発売された1999年以後、アンチ本が数々後追いし、「外断熱」に対する非難中傷が凄まじかった。が最近では、すっかり聞かなくなったので2015年12月発売の「改定版Ⅱ」で「外断熱の家は火事に弱いのだろうか?」の項を削除した。

あまりにも非難が非科学的で幼稚だったからである。

だか、ロンドン火災の映像を見て心配になった人は決して少なくないと思う。


結論から言うと、合法的な外断熱(外張り)工法及びプラスチックサッシは類焼の心配はまずない。

私は、「外断熱」と取り組んでから2度、隣家が全焼するというアクシデントに見舞われた。この経験から、断言するのである。

木造住宅の火災の燃焼温度は1200℃に達し、3m離れた隣家が受ける温度は840℃にも達すると言われている。しかし、外側通気層が確保され、ペアガラスのプラスチックサッシを持った「外断熱の家」は、外壁の一部が焦げただけで類焼しなかったのである。




上の写真が1度目。

下の写真が2度目。




燃えたのは、1度目は2メートルも離れていない木造平屋建て板張りの家、2度目の場合は4メートルほど離れていたがやはり木造板張りの二階屋で全焼だった。

マツミの家の外壁は前者がタイル張り、後者は一般的なモルタル仕上げだった。いずれも通気層があった。真っ黒に焦げた部分のタイルは張り直し、モルタルは吹き直し、窓は火を浴びて変形したものだけ交換で済んだ。

二つの現場とも、お客様に大変喜ばれたのは言うまでもない。

1度目については、松井祐三著「だから『いい家』を建てる」(大和書房)第3章の出だしに描かれている。


火事

「祐三、起きろ!火事だ!」

ある日の明け方5時近く、私は、父の声に飛び起きた。

近くの街道を消防車がけたたましくサイレンを鳴らして次々に走っていく。父と二人で車を飛ばした。

西武通り商店街の方角に火の手が上がっている。その近くには昨年引き渡したばかりの外断熱の家が建っている。

十字路で警官が道を塞いでいた。

車を路上に停め、父が叫んだ。

「私の造った家が燃えているんだ。通してくれ」

二人は走った。

もし、家が燃えてしまっていたら、ようやく軌道に乗り始めた外断熱の家造りがダメになってしまうのは間違いない。

「どうか、神様、お客様も家も無事でありますように」

大勢の野次馬をかき分けてその家に近づいた。

外にいた夫妻が父に抱きつかんばかりにして言った。

「イヤー、社長さん。驚きましたよー。隣が・・・」と絶句した。消防の制止を無視して、開いている玄関から飛び込んだ。奥の和室の窓に炎の影が揺らめくのを見た瞬間に、足が震え始めた。

外に出てお客様の話を聞いたところ、家の中はなんともなく、どこも被害を受けていないという。

鎮火した後で外に回って驚いた。

裏の平家は真っ黒けになった構造材の一部を残してほぼ全焼に近い。家の中から見た窓と、燃えている家とは2メートルも離れていない。

よく見ると、プラスチックサッシの枠は真っ黒に炭化し、二重ガラスの外側が割れていた。タイル張りの外壁の一部も激しく炎をあびたらしく黒色に変わっていた。

ふたたび家の中に入り入念に点検をしたが、異常は見当たらなかった。帰りの車中で、父が言った。

「明日一番で外壁をはがそう」

何が心配なのか、それだけで十分わかった。つまり、炎を浴びた外壁の裏側に張られている断熱材が相当なダメージを受けているはずだからだ。


翌日、大工と職人が集まり、消防の検証が終わるのを待った。周りには近所の人や同業者の姿も見えた。そこでシートで覆って、見えないようにして外壁をはがしたほうがよいという意見が出た。

しかし、私は反対した。すでに被害の程度が想定できていたからだ。ポリスチレン系の断熱材は70度以上の熱を受けると変形が始まり、やがて溶けてしまう。

当然一部はそうなってるだろうと思った。

やがてお客様をはじめ消防関係や、多くの人が見守る中で工事が始められた。

大工さんが、引っ掛け方式のタイル下地のボードを外すと、断熱材が見えた。

「無傷だ!なにも変化がない!」

「新品同様だ!」

「これは、すごい!」

みんな口々に叫んだ。

「なぜだろうか?通気層のおかげたとしか考えようがない」

私の推察に対して、消防の人たちも、「これは参考になる」と感心していた。

お客様はうれしそうに、誇らしげに言った。

「やっぱり、マツミの家はすごい。マツミの家でなければ燃えてしまった」


その日、父は、社員を集めて話をした。

「今回の火事で学ぶことがいろいろあった。類焼を防げた主な理由は、隣家の窓との重なり合いがなく、外壁とプラスチックサッシの耐火性能が大変高かったこと、そしてマツミの家には軒天に換気孔がないことが挙げられる」

そして、笑顔になって声高に言った。

「それにしても、お客様にケガもなく、よくぞ類焼しなかった。この幸運を心から神様に感謝したい」と。




  • 松井 修三プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
    「いい家」をつくる会代表
  • 著書新「いい家」が欲しい。
    (創英社/三省堂書店)
    「涼温な家」
    (創英社/三省堂書店)

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