外断熱・ハイブリッド・エコ住宅/空気がきれい! SA-SHEの家/マツミハウジング

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第12回 爽快感!

 


 「ユニットバスの掃除をするたびに、腹が立つのですよ!」
珍しく久保田さんが語気を荒立てた。
「メーカーの人って、お風呂の掃除をしたことがないのでしょうか?」
私が返事を言いよどんでいると、
「床の六箇所のカバーを外さなきゃならないのですよ。幅の広いものが三つと細長いものが二つ、そして入り口の引き戸の下枠部分。全部で六箇所ですよ!さらに排水の目皿。これが実に厄介で、髪の毛やごみがすぐにたまってしまって、ヌメリがついて、黒カビが発生するのです。
ヌメリが特に付き易い穴の中に手を突っ込むと、突起に当たってケガをしそうな感じがします。さらに厄介なのは洗面器置き台の下の部分です。床にへばりつくようにして、のぞきながら腕を伸ばして掃除をするのですが、これがまたやりづらいのです。
収納棚のガードバーや浴槽まで掃除をすれば、お風呂場だけでゆうに30分は掛かるでしょう。たまには気合を入れて取り掛かるのですが、そのたびに、メーカーが掃除を考えていないことに腹が立ってしまうのです」
久保田さんは、溜まっていたストレスを一挙に吐き出すように話した。
「あのー、たしかトートーでしたよね。あのタイプは掃除という点で不評だったようです。それを挽回するために開発したのが体感ハウスの“カラリ床”タイプのようです。あの床は、ヌメる感じがまったくしませんね」
「やはりそうだったのですか」
久保田さんの顔に、
「マツミハウジングに任せたのですから、もっと掃除のことまで考えて選んで欲しかった」という不満な様子が見て取れた。

実は、私も同様の不満を常日頃感じている。
「私の家はクリナップなのですが、その床がどうにも掃除しづらいのです。それだけではなく、水勾配がうまくとれていないためにすぐにヌメリを生じるのですよ。さらによくないことに色が黒でして、よーく見ないことには、黒かびが発生していることに気づけません」
「床もそうですが、排水部分にヌメリが付きにくいようにした製品って無いのですか?」
そうか、「主婦一番嫌がるヌメリが付きにくい!」という提案は受ける、そういう製品ができれば売れること間違いがない。
私はしばし沈黙して、夢想していた。その様子から、答えに窮したと察したようで、久保田さんはこんな具合に質問を変えて矛を収めてくれた。
 「でも、壁や天井にはカビが発生しません。それはありがたく思っています。問題は、ヌメリが発生してしまうまで掃除を怠っている私にあるのですが、ユニットバスにはバージョンアップってないのでしょうか?」と。
「なるほど。カラリ床にバージョンアップするわけですね。早速、トートーに尋ねてみましょう」
私は、それができるなら我家もぜひそうしたいと思いつつ会社に戻った。そして、久保田さんが書いた〔さらに「いい家」を求めて〕に担当の設計士として紹介されている中沢さんにその旨を伝えた。
「トートーへ問い合わせてみたのですが、それは無理ということでした。そっくり全部取り替えになってしまうとのことです。
申し訳ございません。当時は、あのタイプは排水溝がたくさんあるということで画期的だと評価されていたのですが、私の勉強不足でした」
中沢さんは、申し訳なさを全身にあらわにして謝った。

 ところで、私の家のクリナップ製品はだれが選んだのだろう?
そうだ、設計士さんたちにテストしてみたいものを選ばせたのだった。それは自業自得の選択として我慢するのだが、お客様がこれから何百回腹を立てることになるのだろうかと思うと、私は気が重くなるばかりである。
ユニットバスは、掃除のし易さという点からも検討をしてきていたはずなのだが、まだまだ住む人の立場になりきれていなかったことを大いに反省させられた。掃除が楽ということは、住み心地の重要な要素なのだから。

 この話をこれから建てるお客様にした。
傍らで微笑んでいるご主人を横目で見ながら、奥さんが言った。
「この人、お風呂の掃除が趣味なのですよ。ヌメリを取るのがたまらないそうです」と。
するとご主人が言った。
 「いや、そうではありません。お風呂の掃除は主婦にとって大変な負担です。私はね、その負担を少しは楽にしてあげたくてやっているのですよ。
でもね、たしかにあの厄介さ、大変さに挑戦して見事にやってのけると、爽快感がありますね」
爽快感!
それはたしかにあると、私も思った。

2004年8月5日
松井 修三


 

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