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第27回 「しあわせ」仕掛け人


 最近数億円するマンションの売れ行きが良いそうだ。
その販売促進にアシハラヒロコさんが活躍しているという。
その人が、12日の日経夕刊に“「しあわせ」仕掛け人”として紹介されていた。
出だしはこんな風に。
 「施主への徹底したインタビューを通じ、“理想の家を”を形にする。建築家兼インテリアコーディネーター、アシハラヒロコの姿勢は明快だ。“住まいは夢であり文化、単なる『箱』をデザインするのではなく、そこで暮らす人の幸福に責任を持つのがプロの建築家だ”と考える」
そして、締めくくりで「住む人の幸せが、私の幸せ。そういうつもりで家を造ってきたし、これからも同じ気持ちで取り組みたい」と語らせていた。

億ションのカタログにはこんな風に紹介される。
「住まわれる方の暮らしを重視したノーブルで美しい空間創りは、家族が過ごす穏やかな時間までも提案しているようです。家族のライフスタイルを最大限に考え続けているアシハラヒロコ氏に上質な住宅の条件・・・」

「住む人の幸福に責任を持つのがプロの建築家」、「住む人の幸せが、私の幸せ」。
それらは私の信条と同じである。家づくりに携わる人たちがそのような考えに徹したら、欠陥住宅ができるわけがないし、構造強度偽装なども起こるわけがない。
しかし、ちょっと気になることがある。
構造が鉄筋コンクリートであることは止むを得ないとして、断熱の方法はどうするのだろうか、ということである。それをないがしろにしたら、住み心地がよくならない。住み心地がよくなかったら、とても幸せの住まいとはいえない。

アシハラさんは、富裕層とされる著名人の個人宅をいくつも手掛けてきているそうだが、そこに気づかれているのだろうか?
同じように住む人の幸せを考えた家造りを提唱していても、構造に関しては好み、断熱の方法に関しては知識と経験に、驚くばかりに違いがあるものだ。だから住み心地には、良い、まあまあ、悪いが生じることになる。
悪いは、欠陥住宅である。まあまあも造るべきではない。
住み心地こそが住宅の根源的な価値である。間取りや、設備やインテリアがどんなに気に入ったとしても、住み心地が悪かったら何にもならないのだ。

2006年1月14日
松井 修三


 

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