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  【 ご案内所長のひとり言|クレダの旅 】
 

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No.3

2002年9月26日


イギリス式の朝食

 明け方はぐっと冷え込む。エアコン暖房を頼りに急いで身支度を整え、まだほの暗い通りを渡って本館に入る。
 我々の部屋もそうだが、ホテル内はどこでも甘い花のような香りが漂っている。木製の大きなドアを体全体で押すようにして食堂に入ると、4人が掛けの丸いテーブルが15ばかり、糊の利いた白いテーブルクロスがかけられて、その上に白色のカップにお皿、銀のフォーク、折り畳まれたナプキン、ピカピカに磨かれたグラスがさりげなくセットされている。
 布貼りの椅子に腰掛けて周りを見ると、壁の一面には大、中、小の額がバランスよく掛けられている。その中の一つに、色あせた刺繍が入っていて、よく見ると1857と作成された年代が刺繍されていた。なんと144年前のもの。たっぷりした厚地のドレープのカーテン、何気ない置物。部屋のそれらがブラケットとスタンドの明かりによって浮かび上がったり、沈んだりしている。全般照明が無いので最初は暗く見えるのだが、慣れてみるとその薄暗さが穏やかな、居心地のよさを見事に演出していることに気づかされる。
その朝、イギリス式のブレックファーストを初めて食べた。紅茶にトーストとクロワッサンが基本なのだが、それがとってもおいしかった。
 ホテルの床はすべてカーペット(絨毯)が敷きつめられているのだが、ふかふかしているのでその上をさっそうと歩くには慣れが必要である。
ところで、日本ではカーペットは不人気で、フローリングがほとんどだが、イギリスの家では家中どこでもカーペットが敷き詰められている。“Wall to wall”つまり壁から壁まで隙間無く、階段、トイレ、浴室まで敷いている。ウールカーペットは、保温性、吸音性、遮音性に優れているだけでなく、ホコリやチリ、そして嫌な臭いやホルムアルデヒドのような有害物質も吸収し、分解してしまうという。
 もうそろそろ、フローリング一辺倒ではなくて、カーペットの良さを見直してもいいのではなかろうか、と松井さんは紅茶を飲みながら話していた。

アプライド・エネジー社へ

 荒川氏と共にキングクロス駅へ向かう。
 大股で飛ぶように歩く人々に翻弄されながら列車へ乗り込む。何のアナウンスも無いまま発車した。移動時間は50分。列車は景色を後方へ飛ばしながら走っていく。さしたる振動もなく、体を包むような座席は大変乗り心地が良くて、新幹線より快適な感じがした。
 さすが1827年にスチーブンソンが世界で最初の蒸気機関車を走らせた国だけのことはあるようだ。イギリスの鉄道と郵便はそのスピードが売り物だそうだ。
 ただトンネルへ入った時の気圧変化が激しく、いきなり耳に空気銃でも撃たれたかと思うような衝撃を受けるのにはまいった。最初はあわてて唾を飲み込んだり、耳を押さえたりしたが、それもやがて慣れてしまった。
 車窓から眺める景色は、煉瓦造りの集落を包み込むように広大な畑や牧草地が広がり、牛や羊や馬などが地平線をバックに草を食んでいる。

 ピーターバラへ到着。
 ロンドンと違って風が冷たい。
 駅には昨日同行した、アプライド・エネジー社のアンドリュウさんと輸出担当取締役であるスタンフォードさんが出迎えてくれた。
 スタンフォードさんは愛車の真っ赤なポルシェの助手席に松井さんを乗せると、豪快なエンジン音を発してアプライド・エネジー社へ向かって疾走していく。私たちは別の車で後を追った。イギリスでは、車は左側通行の右ハンドルである。交差点も市内以外はほとんど見かけない。ロータリーで右から来た車が優先で走ればいい。実に合理的である。信号機がほとんど無い。有料道路なんて存在しない。
 ピーターバラの駅近くに、多くの車が整然と並んでいる場所があった。「あれは、どうしたのか」と尋ねると、駅まで車で通勤する人が置いているとのこと。もちろん無料だそうだ。町を造る時点で計画されていたのだろう。       
 30分ほどで一同、アプライド・エネジー社へ到着。広大な敷地に建物が点在している。

 まず、マツミハウジングが施工した家で、どのようにクレダが使われているかを持参した写真を見てもらいながら本論に入った。

松井さんの意見と要望

(1) 荒川氏よりクレダを紹介され、12年前(91年)より使用を始めている。
私の家造りに大変フイットする暖房である。
(2) しかしながらサービス体制に不安を感じる。たとえばレンガの損傷がかなりある。以前よりも少なくなったが現在でも5%ほどはあるようだ。日本人の感覚では、少しの損傷もクレーム対象である。輸送中の製品の管理を改善してもらいたい。
(3) サーモスタットの故障でパネルが焼けてしまう(赤くなった)という事例があった。
(4) リアパネルの変形で、背面の空気の流れが遮られ、壁が熱くなってしまい、火事になりそうになったことがある。
その後クレダの背面の壁を耐熱、耐火仕様に変えた。日本へ輸出する際は、目立つように注意を促し、英語の説明だけではなくイラストなどを用いてもらいたい。
(5) 日本においては、部屋を暖めるという目的の他に、インテリア感覚も大切にしている。クレダの足を床材に合わせ易いように木の色に変えればいいと思う。
足を白、ブラウンの2色の選択性にしてはどうか。
(6) 温度設定のツマミがすぐバカになる。今後もツマミ部分はアナログ的でいくのかどうか。
(7) クレダはいい商品であるが、売る側の体制に不安を覚える。ユーザーが直接クレダを求めているのではない。クレダの良さを知っている工務店が、ユーザーに勧めているのだから、もっと工務店に対するアプローチ体制を強化したらいかがか。
(8) クレダは構造がシンプルで、故障が少ないのがいいのだが、それでも日本のメーカーのようなきめの細かいアフター体制を用意して欲しい。
(9) さて、肝心なことはこれからもクレダというブランドを維持し続けるのか否かについて、確かな答えが欲しい。

 

アプライド・エネジー社の回答

[1]
(2)〜(6)の商品問題点、提案については改善策を検討し、文書にて社長宛に回答する。
[2]
(7)(8)については上層部と協議するので預からせていただきたい。
(8)に対しては手伝わせていただく。
[3]
(9)についてスタンフォードさんは「今後もクレダブランドを大切にしていく」と力強く言明した。これから倉庫をお見せするが、わが社の力の入れ具合をきっと納得してもらえるだろうと自信たっぷりに言った。

 
 そしてスタンフォードさんは、実際にクレダを使っている私に使用状況や感想を求めてきた。
 「わが家は1,2階がそれぞれ100m2ほどの広さがあり、特に1階は寝室とトイレにドアがあるだけのオープンスタイルである。玄関ドアを開ければリビング・ダイニングの一部分が視界に入る。
 リビングと和室に襖はあるが、冬でも閉めたことがない。1階にクレダを3台配置し、2階に1台設置してある。あまりにオープンな間取りだったので、冬の寒さが心配であったが、“ノー・プロブレム”である。基本料金として一月、1800円を徴収されることには不満があるが、1ヶ月の暖房費は12000円から15000円程度で済むし、風も出さず、音も出さず、実に暖かさがマイルドで、お年寄り、子供、女性にとっても優しい暖房機だと思う。私は真冬でも家の中を裸で歩くことができる」と答えたら、スタンフォードさんは両目と両手を一杯に開いて「Sure!」と叫んだ。その大げさな仕草を見て一同が大笑いとなった。

 倉庫の前には、クレダの中に納められるレンガがシートにくるまれ山積みされていた。雨に濡れることを心配をすると、スタンフォードさんは「一度暖めれば煉瓦の温度は700度ぐらいになる。だから水分は吹っ飛んでしまうから“ノー・プロブレム!”だと明るく笑った。
別の大きな倉庫には、出荷寸前のクレダが山積みされていた。冬場に向けてこれから出荷されるのだという。常に6億円に相当する在庫を用意しているそうだ。イギリス国内で年間12万台、スペインへ2万台ほどを出荷しているとのこと。
それを聞いた松井さんは、「今、日本にはスペインの10分の1の2千台程度しか輸出されていない。やり方次第で日本でもスペイン並みに売れるはずなのだから販売体制をしっかりして下さい」と、さらにスタンフォードさんを叱咤していた。その後で部品倉庫も見学した。
 事務所にもどって、イギリス内のクレダの受注センターと輸出セクション、そして商品展示ブースを見学。クレダの集中コントローラー、電気式湯沸器、暖炉温風器、シングルルームの室内、セントラル換気装置、クオーツランプ(輻射式)、 パネルヒーターなどを見る。
 シャワーにうってつけの小型でスマートな電気式湯沸器が展示されていた。ガスなどより断然早く、高圧でお湯が出てくる。

 午後にはピーターバラ市内の住宅建築現場とモデルハウスを見学した。日本の小振りのアパートのようだった。外壁はレンガ積みになっていて、小さなストローの様な突起がいくつも出ていた。それらは室内の換気のためのものであり、外壁の下の方には、外側通気に役立てるための床下換気口のようなものがついていた。
 部屋に入ると、クレダが使われていたのだが、その足はカーペットの下に隠れていた。なるほど、そうすれば足が気にならないことを理解した。

「隙間風なんかNo Problem!」

 昼食を取りながら、スタンフォードさんとアンドリュウさんからおもしろい話しを聞いた。
 イギリス人は寒さに強い。隙間風なんて気にしない。どちらかと言うと歓迎である。私には気になって仕方がないトイレや風呂場の換気扇の音なども、それは使う時だけの問題であって「ノー・プロブレム!」だ。その程度のことを気にして、それを解決するために投資をすることはばかげているという。日本ではわざわざ便器などに擬音を出す工夫をしてお金をかけている。付加価値と称して、余分な投資を競い合っているわけだ。

 食後のコーヒーを飲んでいたら、スタンフォードさんが自慢の愛車があるからぜひ見せたいと言い出した。それは30年前に生産されたジャガーだという。
 イギリスで手作りされて有名な物は何かと言う質問に対して、車好きのスタンフォードさんは、真っ先にマクラーレンとモーガンをあげた。

 後日、私たち3人でロンドン市内を歩いた時に、ハイドパークの東側通りのパーク・レーンで、マクラーレン社のショーウインドウを偶然見つけた。
 磨きあげたガラスの向こうに、さらに磨きあげられたシルバーカラーのスポーツカータイプの車があった。前から見ると、カエルの顔を引き延ばした様で、横から見たら、風をイメージしたような見事なスタイルだった。後ろから見たら、赤いテールランプからジェット噴射で炎が出てきそうだった。 そして、横から見た時は気付かなかったがボディーのラインがくびれていて、女性の体のようでとてもセクシーに見えた。
 松井さんは感激もひとしおで、こんな車に乗ってみたいなぁとしきりに呟いていた。お値段はなんと3千万円以上はするらしい。家一軒分だ。手作りされるからすごい価値を生み出せるのかなーと感心してしまう。
その後なん回か店の前を通ったのだが、その度に気になって見ていると、やはり誰かしらショーウインドウにへばりつくようにして車を見ているのだった。いいものは人々を魅了してやまないようだ。

 スタンフォードさんの家は可愛らしい庭と二つのガレージを持ったこじんまりとした家だった。古い町並みに似合ってやはり古い家である。窓辺には、大きな花瓶に数種類の花が華やかに飾られていた。
ガレージの中に、スタンフォードさんが愛する真っ赤なジャガーが鎮座していた。
 彼にとって、30年前のその車でドライブするのが最高の気分転換になるそうだ。私には車の良さがいまひとつわからないが、スタンフォードさんがぞっこん惚れ込んでいる様子に親近感を覚えた。
 空は晴れて夏を感じさせるように暑くなってきた。荒川さんが、「イギリスには一日の中に四季がある」と話してくれたがその日は正にそれを実感するようであった。夕方にピーターバラ駅で再会を約束してアプライド・エネジー社の二人と別れたのだが、頬に感じた風は秋の深まりを告げているようだった。
 松井さんはクレダについて信頼を強めたようで、ホッとした表情をしながら「さあ、明日からはイギリスの家を見て歩くぞ」と言った。

参考までに、イギリスの電気代、オイル代について記しておこう。
イギリスの一般家庭では、1kW→7ペンス
日本円にして 昼間 13円ぐらい
夜間  7円ぐらい
1月 £20→3600円ぐらい 
セントラルヒーティングのオイルはもっと安い
年間光熱費は£500〜600→8万円〜9万円ほど

 日本では深夜電力は使用しない時期にも基本料金をとられるが、イギリスでは使った分の請求だけだそうだ。


クレダ蓄熱式電気暖房機について (荒川さんから寄稿)

〔沿革〕

 クレダという会社は、イギリス中部のストーク・オン・トレントで1898年に設立された。その地は、良質の粘土が豊富に取れるので焼き物(陶器)の町として栄えていた。最初は、石炭や薪ストーブのメーカーとしてスタートしたのだが、電気の普及に合わせイギリスで最初の電気調理器を開発し、その大量生産に成功した。その後、電気ストーブや電気洗濯機なども開発して、イギリスでは有数の住宅設備メーカーとして成長してきた。

 1950年代に入りクレダはストークオントレントで産出される粘土を使って地元の窯元と一緒に試行錯誤しながら蓄熱用レンガを作り上げ、このレンガを使った世界で最初の蓄熱式電気暖房機を開発した。蓄熱式電気暖房機のコンセプトは素晴らしかったのだが、当時のものは500℃までに加熱される蓄熱レンガの熱をコントロールするための断熱材の厚みだけでも30cm近くになり、レンガの厚みを加えると本体の奥行は50cmにもなる大型であった。又、蓄熱レンガを加熱するヒーターもニクロム線を使ったものなので高温加熱が困難であった。

 1960年代に入ると、酸化鉄を混ぜ合わせた高性能蓄熱レンガが開発されたのだが、それでも本体の奥行は35cm近くあり、消費者に支持されるには程遠い状態であった。

 1970年代に入り、石油ショックによる省エネ機運の高まりとともに、電力負荷の平準化に悩んでいた英国電力公社の要請もあり、深夜電力の普及の切札として電気温水器と共に蓄熱式電気暖房機が脚光を浴びるようになった。
 クレダも蓄熱式電気暖房機の開発メーカーとして時代の要請に答えるべく、様々な改良を加えた新製品を発売した。その頃に、後にベストセラーとなった“スリムライン” と呼ばれる機種が開発された。本体の奥行が従来機種の半分の僅か17cmという超薄型で、しかも高性能であったのでクレダの名声は一挙に広まった。それは今日、イギリスやヨーロッパ主要国で販売されているクレダ蓄熱式電気暖房機の原型で、下記の特徴を持っており、最新のクレダにも受け継がれている。


〔クレダの特徴〕

1. 英国マイクロサーム社がNASAのスペースシャトル向けに開発した超高性能で超薄型のマイクロサームと呼ばれる断熱材を採用したことで、放熱量の微妙なコントロールが可能になった。その為本体の奥行が従来の半分の僅か17cmの超薄型となった。
2. 蓄熱用レンガを加熱するヒーターをステンレスの筒に入れたインコロイシーズ型を開発してレンガを700℃の高温に加熱することを可能とした。
3. 本体の高さを70cmとし煙突効果による自然対流熱とフロントパネルからの輻射熱による自然対流型とし、マイルドでおだやかな暖房環境を作りだした。
4. 放熱ダンパーの角度調節によって室温調節が容易に行えるようになった。
5. 深夜の蓄熱時間帯に放熱ダンパーを閉じる加速抵抗型ヒーターの採用で蓄熱性能が飛躍的に向上した。
6. 深夜の蓄熱時間帯のヒーターの通電時間を制御できるようにした。そのため使用者が天気予報を見て翌日の蓄熱量をマニュアルで選べることになった。
7. 気象学の原理を応用して、深夜の外気温度の変化を内蔵されている温度センサーによって間接的に読み取り、翌日に必要な蓄熱量を予測してヒーターの通電時間を制御する自動蓄熱コントロール機能を持たせた。(オートマチックタイプの場合)この為マニュアルタイプに比べ更に15%の省エネとなった。
8. 蓄熱性能が高まったことと、安い深夜電力の利用でコストパフォーマンスに優れた24時間の連続暖房が可能となった。
9. 自然対流と輻射による暖房の為、稼動部品がほとんど無くメンテナンスフリーでかつ20年以上の長寿命である。〈英国では30年経ったクレダ蓄熱式電気暖房器が沢山使われており日本でも1986年に輸入された製品がいまだ現役暖房器として使われている。〉

 
〔使用している人たちからの評価〕

部屋の空気を汚さないクリーンな暖房である
輻射熱と自然対流によるマイルドな暖房である
遠赤外線効果が得られるので、体が温まる
火事の心配が無い(暖房したまま外出できるので、子供や高齢者に安心)
深夜電力利用なのでランニングコストが低い(昼間電気量の3分の1)
24時間暖房に最適
騒音がまったく無い
メンテナンスが簡単にできる
設備費が比較的安い。

  〔「いい家」が欲しい。〕で紹介されてから、クレダ蓄熱式電気暖房器に対する需要が急速に高まっている。寒冷地である北海道や東北地方だけではなく、東日本、中部地方、西日本にも広がってきている。
 それは住宅の高気密・高断熱化の流れ、特にソーラーサーキットの家の普及と関連しているようだ。より上質な住み心地を実現するためには、クレダのような蓄熱式電気暖房機が大いに役立つ。オール電化住宅への関心の高まりもあるのだが、健康で快適な暮らしへのこだわりを持つ人たちは、クリーンで省エネルギーで安全性の高い暖房方法を求めている。
 これからの高齢化の時代には、メンテフリーということも大事なことになる。床暖房はボイラーを必要とする。ボイラーは、10年前後で交換することになるのだが、その費用を考えるとランニングコストは安くならない。そしてボイラーは、騒音と排気ガスを出すので環境にやさしくない。メンテナンスのことを考えても憂鬱な暖房方法である。


〔ご注意〕

 クレダの設置については、耐震に十分配慮して固定の方法を考えなければならない。転倒してもレンガが飛び出す心配はない。3〜5年に 1度は、自然対流で本体内部に吸い込まれるホコリを除去することが必要である。


 
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マツミハウジング

 

 

 

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