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  【 ご案内所長のひとり言|クレダの旅 】
 

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No.6

2002年9月30日


陶器の町 ストーク・オン・トレント

 今日は、クレダのレンガを生産しているというストーク・オン・トレントへ行った。朝8時にロンドン・ユーストン駅に向かう。
キップを買うのは私の役目となっていて、だいぶ慣れた。ただ、どのホームから、どの列車に乗ったらいいのかが的確に分からない場合がある。松井さんは、任せたことについてはいっさい口出しをしないので責任が重い。
 約2時間かかってスタットフォードに着く。風が冷たい。
タクシーにてウェッジ・ウッド・ストーリーへ行く。
途中広大な畑の真ん中を走るのだが、土がレンガ色をしていた。飛行機の中で松井さんが手のひらに握って温めてみたいといった土である。そんな色の土の畑で収穫される作物は何なのだろうか。

ウェッジ・ウッド・ストーリー

 「ジョサイア・ウエッジウッドは、1759年29才の時に陶器製造会社を設立した。そして「エトルリア」という村をつくって、近代的な工場の建設と同時に従業員のために快適な住宅も整えた。彼は、いい仕事をしてもらうには、いい家に住まわせることが大事であることに気づき、それを実行した社会革命家でもあった。彼は常に研究熱心であり、またそれを記録することに優れていた。彼が生み出した工法や、斬新で独創的なデザインはその多くが、現在も引き継がれて生産されている」
 ジョサイアは言ったそうだ。「肥沃な大地に恵まれた時、形あるものを創ろうとさえ努力するならば、神は我々に栄光をもたらすだろう」と。

 そのような内容の日本語の解説を聞きながら、展示物、工房を見学した。工房は順路が示され、工程に従って職人さんたちの腕前を間近に見て歩けるようになっていた。手作り、もの作りの神髄を目の当たりに見学できる。様々な形の陶器が作られていて、その形、模様、色づかいの調和のすばらしさを堪能した。

 グラッドストーン・ポッテリー博物館からロイヤルダルトンへ

 私たちの目に、巨大な徳利のようなものがいくつも飛びこんできた。「うわっー、いったいあれは何?」と叫んでしまう。そのふくらみかけた胴体の部分には産毛のような感じの植物が生えていた。
 それがビィクトリア時代の釜だった。当時はそのような巨大徳利型焼き釜が無数にニョキニョキ建っていたようだ。目の前にある数本を見ても楽しいのに、これが町中にあったなんて想像しただけでも興奮してしまった。その先端からは毎日もうもうと煙が出ていたのだろう。レンガと陶器の生産で、当時の町はさぞや活況に溢れていたことだろう。
 クレダの蓄熱レンガの窯元を訪ねたかったが、素敵な陶器の数々に見ほれているうちに時間がなくなってしまった。
 帰りはストーク・オン・トレントの駅から列車に乗ることになった。待ち時間が30分ほどあり、私は駅舎内のベンチに座りこんだ。疲れがどっと出て、もう1歩も歩きたくない心境だった。しかし松井さんは、「さっきタクシーの中から見えたレンガの建物の解体中の現場へ行って来る」と出かけて行った。
 ジュースでのどの渇きをいやしながら思った。松井さんという人にとっては、家に関することなら建てることも、解体することも何でもエネルギーの元になるようだと。それにしても疲れを知らない人である。

 やってきた列車は最新式であった。
座席シートの布と窓と床と車体以外は、強化プラスチック製なのだ。松井さんに言われるまで気がつかなかったが、「どうりでカプセルの中に置かれているような気がしていました」と答えた。プラスチックは悪魔の製品というような考えはイギリスにはないようだ。

 その内うとうととしていたのだが、どうも様子がおかしいのだ。行きとは違う駅に停車している。この列車は本当にロンドンへ行くのかと不安になった。
 確認したら、やはり行き先の違う列車に乗っていたことがわかり次の駅であわてて乗り換えた。
 そんなハプニングもあって、ロンドンへたどり着いた時には夜の10時を過ぎていた。疲れた、とにかく疲れた。それもそうだ。日本で言えば、東京から大阪、新潟、仙台へととんぼ返りを繰り返す毎日なのだから疲れて当たり前である。「明日からの二日間はどうされますか」と私はおそるおそる松井さんに尋ねた。
 松井さんは「明日の朝、部屋に電話で知らせます」とのことだった。
「明日はゆっくり寝ていたい」、それが私の本音だった。


 
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