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No.2

 先日の節分の日に、あるお客様が工事中の体感ハウスに2回目の見学に来られました。
玄関から屋内に入ると「あら、暖かいわね」と驚かれていました。
 そしてお客様は、こんな話をしてくださいました。
「昨日、新築したてのお友達の家を訪問したんです。豪華につくられた家なのにとても寒いのですよ。暖房しているにもかかわらず寒くて、家の中でコートを着たいほどでした。まさかよその家でコートを着ているわけにはいきませんし。一緒に行った主人は、帰り際には頭が痛くなって風邪をひいたかもしれないなんて言ってましたよ」

 さてこれからご紹介するのは、長津田を語る会著の『激変の庶民生活史長津田の歩み』から「戦前の農家の建物」の部分です。

・・・

 戦前の農家は、ほとんどかやと麦からをまぜて屋根をふきました。棟は竹をさいてくるむのが多かったのですが、芝をのせ、また、いちはつ〔アヤメ科の多年草で、火災を防ぐという俗信からわら屋根の上に植えたりする〕や岩松などを植えた風雅なのもありました。

 小さな家は寄せ棟でしたが、少し大きい家は、はふ造りで、棟の中央にバッキをつけていました。これは一つは家の中で、イロリやカマの火を炊くので、その煙がこもるためでしたし、いま一つは、蚕を家の中で飼うので換気を考えたのでしょう。

 造りは一階建てがほとんどですが、二階、ときには三階にも、簀子〔すのこ〕または板ばりにしてここで作業(多くは蚕のまゆをつくる)場所や、ものをしまっておく場所にしていました。

 間取りの標準的なものは、〔中略〕入口から入ったところに、土間があってこのまわりに、いろいろな作業道具が立てかけてあり、ここは、雨の日には作業場にもかわります。土間の一隅にはイロリがきってあって、天井から自在鍵がかかり、なべや、やかんがかけられ、そして、そのまわりにはむしろがしかれます。ここは冬の夜は家族ダンランの場です。その後ろあたりにへっつい〔かまど〕がある家もありましたが、多くは、これは外へひさしをおろして、そこで燃しました。

 土間からは、座敷に上がる、かまちがすえられているうちもあります。座敷は、畳がしいてあれば上等で、ふつうはうすべり〔裏をつけ、縁をつけたむしろ〕です。ここはリビングルームともいうところで、ふだん家中集まって話したり、作業をやったりするところですし、夜は若者たちの寝るところ、養蚕がはじまると、蚕を飼う場所、雨がふって、稲をこいたり、からうすでひいたもみをおくところがなければ、ここにひろげるという、何にでも使う場所です。デイ〔出居〕はもともとは客間のはずですが、ここにたんすから、箱物などいれて、その間が主人と幼児の寝床です。ヘヤはとしより夫婦や、やや大きくなった子供などのねたり、休んだりする場所です。

 勝手は諸道具が入ると、ごくせまくて、ふだんの食事は土間の方から腰かけて、たべるのがふつうでした。

 便所や風呂が母屋についているうちは少なくて、部屋についているうちは上手洗場(かみちゃうつば)があるといって、とてもうらやましがられたものです。外便所では、冬でも、子供でも、病人でも、一度戸をあけて外にでなくてはならないわけです。

 風呂は、火事の心配からか、別に小屋をつくってそこで入るようになっていました。十分な構いのないのが多かったので、昔の青年は夜遊びといって、多くは、夜は、そとへ遊びにでかけたのですが、若い娘さんの入浴姿を見るなども楽しみの一つだったようです。

 ただ、農家のうちにも、内便所、内風呂、それに、中の間、物置など、合体して大きな家を構えているうちも何軒かありました。ふつう、それらをあわせないうちは、家のまわりに、いくつかの建物(多くは小屋)を造りました。

・・・

 次回は「寒さ、暑さ、虫とのたたかい」よりです。

 この話を子供たちに読んで聞かせると、「まるで日本昔話にでてくるみたいな家だね」と驚いていました。私が小学生の頃に訪れた祖母の家は、外便所で、土間空間、へっつい、五右衛門風呂があったことを覚えています。外便所について、子供たちと様々に空想を競い合いながら語り合いました。
 「いま住んでいる家に感謝しなくては」それが結論となりました。住宅の進化にも目を見張るものがあります。

 
2003年2月7日
久保田 紀子


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