第48回
「ソーラーサーキットの家」社名となる!
あるお寺さんの住職からご契約をいただいた。
契約が終わって奥さんが笑顔で、「『いい家』が欲しい。』と出合えたことに心から感謝しているのですよ」と言われると、傍らで住職は深くうなずかれていた。
「3年近くかかって家を建てる体制を整えてきたのですが、その間、私たちの気持ちはいささかもぶれることがありませんでした。
それは」と住職は壁に掛かっている額を指差された。
「すべてはこの信条を信頼したからです。住まいとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願えるものでなければ住まい造りに携わってはならない。この信条があるかぎり、マツミさんに依頼することについて何も不安を感じません。家を建てることが楽しみです」
契約に先立って、私はこんな話をさせていただいていた。
契約の日に、突然こんな話を持ち出してさぞや驚かれることと思いますが、事前にお話しする時間がなかったのでお許しください。
昨日、「いい家」をつくる会の臨時会議が開かれました。その席で、我々はソーラーサーキットの家を造るのは止めることを決意したのです。
その理由は、カネカがソーラーサーキット部門を分社化し、4月1日に発足する新会社の名前を「ソーラーサーキットの家」と決め、我々の抗議に対して耳を貸そうともしないからです。その名称は、我々会員が資金を出し、コツコツと努力を積み重ねてブランド価値を高めてきたものであり、会員の共有財産です。
私が本で取り上げたことで一挙に知名度が上がり、ソーラーサーキットの家を求めるお客様が増えました。しかし、そのブランドが新設会社の社名となったのでは、私の本は一企業の宣伝本となってしまい、信頼が失われてしまいます。会員も同様です。
久保田紀子さんは、その理不尽さに愛想をつかし、改訂2版で「ソーラーサーキット」という呼称をすべて削除されました。
そこで「いい家」をつくる会としては、カネカに対して質問状を出し3月13日までに納得できる回答が得られない場合には、ソーラーサーキットの家とは手を切ると決めたのです。
それは当然の決断なのです。カネカが新会社の社名にすると決めたときに、「ソーラーサーキットの家」は普遍的な価値を失ってしまったのですから。「ソーラーサーキットの家」は住む人の幸せの器であって、一企業の社名であるべきではありません。我々が住む人の幸せを二の次にして、そんな道理が分からない一企業のエゴに追従するようなことをしたらお客様を裏切ることになります。それは絶対にできないことです。
ではどのような家を造るのかということですが、カネカの指定部材を使わずに本の精神に則った「外断熱」によるさらに「いい家」をお造りします。用いる断熱材に「SC」というマークが付きませんが、性能は同等かそれ以上のものを選びます。窓も同様です。床下ダンパーは原則つけません。それがなくても住み心地を良くする方法があるからです。
これからは「いい家」をつくる会のメンバーが協力し合い、蓄積してきた技術と最新の情報を駆使して、ソーラーサーキットの弱点を解消し、さらに省エネで住み心地の良い、安心して住める家を造ることをお約束します。
突然の話でさぞ当惑されたことでしょうが、ご理解いただけますでしょうか?
すると住職は温かな笑顔で、「私たちは、マツミの家を建てて欲しいのです。工法や資材はすべてお任せします」ときっぱりと言われた。
奥さんも「そのとおりです。私たちはソーラーサーキットの家だから契約するのではありません。この信条を大切にされる造り手にお願いしたいのです」と、力強く言われた。
お二人の言葉に、私は、住む人の幸せを心から願うことの大切さを再確認させられた。そして、「正直」という工法で建てるをモットーとする「いい家」をつくる会に、今後お客様の注目はより一層集まると確信した。
2008年3月7日
松井修三
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