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松井修三のコラム「思ったこと、感じたこと」

税金は軽くなるとしても

60代半ばの主婦の方の相談を受けた。

2年先に迫ったご主人の定年に合わせた家づくりをしたいと孤軍奮闘しているとのこと。主だった住宅本はことごとく読破し、ネットで調べ知識は有り余るほどだ。

断熱材の経年劣化は?

一部を賃貸にする場合「涼温換気」が不都合となることはないか?

などなど質問は的を射て鋭い。

仕事の都合でいまは別居している息子さんと、いずれは同居したい。息子さんが独身をとおした場合を想定すると、プランが固まらないので悩んでいるとのこと。これが最大の問題のようだった。


私は、息子さんのことは考えないで、老後の夫婦二人にとって一番都合が良い家を建てるのがいいとアドバイスした。その家で両親が、住み心地に満足し、日々を健康で楽しく暮らすならば、息子さんは安心するし、いずれは自分が引き継いで住んでみたいと思うことだろう。

一部を賃貸にする場合、管理や人間関係の厄介さを想像することが大事だ。いずれ息子さんにとって負担になる可能性が高い。管理や家賃収入は保証するというメーカーの言葉に乗せられないことだ。

相続税が有利になると大手ハウスメーカーは薦めているが、税金は軽くなるとしても、一つ屋根の下で他人と暮らすことから生ずるストレスは、間違いなく重く感じるようになるものなのだから。

松井修三プロフィール
  • 松井 修三 プロフィール
  • 1939年神奈川県厚木市に生まれる。
  • 1961年中央大学法律学科卒。
  • 1972年マツミハウジング株式会社創業。
  • 「住いとは幸せの器である。住む人の幸せを心から願える者でなければ住い造りに携わってはならない」という信条のもとに、木造軸組による注文住宅造りに専念。
  • 2000年1月28日、朝日新聞「天声人語」に外断熱しかやらない工務店主として取り上げられた。
  • 現在マツミハウジング(株)相談役
  • 著書新「いい家」が欲しい。(創英社/三省堂書店)「涼温な家」(創英社/三省堂書店)「家に何を求めるのか」(創英社/三省堂書店)